「逆立ちしてもお母さんの料理には勝てませんが、それに近い状態を作り上げることが究極だと考えています。それには絶対的に我々自身が人間としてお客様に愛されなければいけません。なので、良い人間として日々成長することが大きな責任です。」と、SEKIDO錆作所 by umatacoの店主:馬橋夫妻のご主人は言います。
「コーヒーとともに。」今回は、上田市常磐城の住宅街の中に美しい錆アートに囲まれながら、信州の食材を使ったタコライスを届ける「SEKIDO錆作所(せきどせいさくしょ) by umataco(ウマタコ)」をご紹介いたします。
店主の馬橋夫妻のとっても気さくな人柄と、美味しい料理が味わえるSEKIDO錆作所 by umataco。
私もこのお店の確かな味と独自の魅力に心を奪われた一人で、今回インタビューをさせていただきました。
コーヒーのお供に、今回の記事をご覧いただけたら嬉しいです。
世界一大きなCDショップよりも、世界一家族の近くで幸せを届ける
2018年6月、神奈川県から長野県上田市への移住をきっかけに、2020年10月にSEKIDO錆作所(せきど せいさくしょ)をはじめた馬橋夫妻。
ご主人は移住前、CDを販売する音楽小売業の会社を2社渡ること20年。
世界で一番大きなCDショップの店長も勤め、複数の店舗を管理し、年間15億を超える予算を持つスーパーバイザーとして活躍をしていました。
しかし、「社長にならない限り、2番手も100番手も、仮に一番下だとしても大して変わらないな。というサラリーマンの限界を悟り、所属する会社の社長になるというよりも、小さくてもいいから全部自分の責任でやる会社か店を持ちたいと思うようになった。」とご主人は言います。
そんな中、移住のきっかけをくれたのが奥さん。
「仕事を辞めて地方に移住しない?」と持ち掛けたと言います。
家庭を顧みず仕事をしてばかりのご主人に対してのメッセージと、健康面を心配したことがきっかけでした。
「自分のことを誰も知らない土地に行って勝負することにとてもワクワクし、”よっしゃ!”と移住を決断しました。最初は生活していくのも苦労しましたが、、」とご主人は言います。
知らない土地で暮らすことへの抵抗がなく、行動力のある馬橋夫妻。
開業までの2年間は、アルバイトを掛け持ち、派遣社員で深夜の工場勤務、昼間の倉庫業の仕事、3時間寝てまた工場に行くという生活をしていました。
「工場の仕事がない日曜の深夜は棚卸し業者のアルバイトをして新生活と開業の準備を続けた2年間だった。」と言います。
ご主人の前職でのつながりを活かし、音楽フェス等でキッチンカーでの営業も考えていましたが、時を同じくして、昼間のアルバイト先で一緒だった、一回り以上年下の芸術家、關戸望(せきど のぞむ)氏から「ギャラリーを開きたい。」という相談を受けます。
關戸氏は、ご主人の過去の経験を知る数少ない人間で、”画家として、芸術家として売れるか?”をそれまでも常に相談されていました。
いつしかご主人は關戸氏のマネジャーのようなことをやるようにもなっており、錆アートのギャラリーと飲食店(タコライスは決まっていた)を合体させた店を關戸家が管理する建物と土地でやろうという提案をし、SEKIDO錆作所が誕生したのだと言います。
”錆とタコライス”というインパクトの奥には日々柔軟な進化を
「ブレブレは良くないですが、今まさにお客様から色んなものを学び、気づかされている時です。開業3年までにはひとつ形にしようと思ってます。」と語るご主人。
”理想は実家・母親(父親)のサービス”なのだと言います。
多くの人にとって、お母さんが作る食事がなぜ美味しいのでしょうか?
それは、「自分が育った最も安全で安心な場所で、母親は自分に安全で体に良いものを、究極の愛情のこもった、食べる人のことを考えた食事を与えてくれるから。」だと言います。
そのため、飲食店として絶対に大事にしないといけないことは
①「居心地」②「安全」③「味」の順でチェックし、ひとつでも欠けたらダメですが、順序が逆になることはないのだと言います。
「逆立ちしてもお母さんの料理には勝てませんが、それに近い状態を作り上げることが究極だと考えています。それには絶対的に我々自身が人間としてお客様に愛されなければいけません。なので、良い人間として日々成長することが大きな責任です。」
そう語るご主人の温かい人柄が、そのままお店に現れているSEKIDO錆作所 by umataco。
その雰囲気と人柄にはファンも多く、住宅街の中の温かい居場所として多くの方が訪れています。
こだわり
「良い=高いではなく、タダでもらったものでも良いものであれば使います。」と言います。
一番おいしい料理というよりも、“美味しいと思ってくれる人が多い”料理をつくること。
直売所にて野菜の仕入れ、スープや一部メニューは店舗で仕込み、他の仕込みは自宅併設のセントラルキッチンで行うことで、どんなに面倒でも、食材の美味しさを生かすための手間をかけるこだわり。
「良い食材にできるだけ手をかけず、余計なことをせず、素材の味を引き出してそのままお客様にお出しする。そうすれば勝手に美味しい料理ができる、というのが僕の持論です。」と言います。
「關戸氏というデザインのできる画家が身内にいたので、ひとつひとつイメージデザインを完成させてから業者ともやりとりしていたので、あるあるの”思っていたのと違った!”とか”ここのサイズが合わなかった!”とかは少ない方でした。」
「自分たちで手作りでやらなければならない部分が多く、それをお客様が価値と考えてくれている部分も多いですが、狙ってそうしたというよりそうせざるを得なかった感じです。もちろん居心地の良い空間を演出するため、こだわっている部分はたくさんありますが。」というご主人。
店内にはとても手作りとは思えないハイセンスなインテリアが揃っており、居心地の良い空間づくりへのこだわりを感じることが出来ます。
大変だったことは?
コロナ渦で、事業計画書を提出したタイミングで感染者数が増えてしまったこと。
そのため、一度決まりかけた融資が止まってしまったり、減額の提案をされたり、すでに工事を始めてしまってから資金難となったことが一番大変だったと言います。
大変だったことは開業前だけではなく、
「寒さや暑さに建物が対応できず、外に作ったトイレの洗面が凍結で壊れてしまったり、寒すぎて観葉植物が枯れてしまう、光熱費が予算の倍かかってしまうなど、開業後のハプニングも数えきれないほどありますよ。」
開業後でも、想定していなかったことが多々あったと言います。
家族みんなで安心して楽しめるメニューとしてタコライスを国民食に
「そうなったかどうかは、桃鉄で長野にタコライス屋が登場したらクリア。笑」と笑うご主人。
ご主人は続けて語ってくれました。
ただ、店を増やしたりメイクマネーすること自体が目的ではなく、多くの人に認知される存在となれば、それだけ食べてくれる人が増えます。
食べて欲しいのはズバリ、お子さんやティーンの子たちです。
小学生から高校生くらい。特に中学、高校で運動部で頑張っているような子たちに食べてもらいたいです。
もちろん結果的にそのご家族にも食べていただき、家族がみんなで安心して楽しめるメニューとしてタコライスを国民食に育てていきます。
それが、信州の特産として認知されることにつながる手段です。
ご自宅でumatacoの味が楽しめるようなサルサソースとタコミートの販売、キッチンカー事業や2号店の出店も考えています。
そのために、今の店をもう少し利益がでるように夫婦で頑張りますが、むやみに、がむしゃらに頑張る、ということはしないと決めています。
なので、一番はこの店を楽しんで続けていくことが目標です。
そうでないと、目の前のお客様に感謝することを忘れてしまうと思うからです。
目標はごくごくたまに思い出して考える程度にして、普段はやるべきことを粛々と楽しみながらやっております。
お客さまへ伝えたいメッセージがあれば、聞かせてください。
いつもSEKIDO錆作所 by umatacoをご利用いただきありがとうございます。
限りある食事の機会の貴重な1回を当店に与えていただけることは、大変幸せなことです。
僕たちがお店に立ちながら、日々お客様に対して考えていることは、「来て良かった。また来よう」と思ってもらえるようなサービスを提供すること。
常におごらず、お客様にもっと何かできたはずだと考えること。
”店は利用してくれるお客様のもの”だと考えることです。わずかな時間でも、お客様が”自分の居場所”のように感じてもらえることを理想として、これからも努力していきますので、umatacoをどうぞよろしくお願いします。
SEKIDO錆作所 by umatacoでお会いしましょう
馬橋夫妻のつくる素材にこだわった料理の美味しさはもちろんのこと、美しくも斬新な錆アートに囲まれた温かい雰囲気の「SEKIDO錆作所(せきどせいさくしょ) by umataco(ウマタコ)」
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